日本ペンクラブに入って、9年も経ちました。早乙女先生と作家牧南恭子さんの推薦を得、2冊の作品と書類審査を経て入会したのが、昨日のことのように思います。私は、作家などと呼んでいただくようなコースを歩いてきたわけではないので、全く資格がない私を難なく入会させてくださることになったのは、お二人のご尽力だったと確信しています。
 ペンクラブの例会では、いつも着流しの和服姿の先生が、ニコニコと参加者とお話しておられましたが、会の重鎮であられる先生を独占するわけもいかないので、牧南さんとご挨拶だけにしておりました。
こんなに早くお別れしなければならなかったのなら、もう少し厚かましくコンタクトを取らしていただいたらよかったのにと、二人で後悔しました。先生は、会津藩士の末裔として、「会津士魂」を31年間書き続けられ、その歴史的真実を書き残すのが、ライフワークでした。
大きな文学賞も手にされ、悔いのない作家生活だったことでしょうが、あまりにもあっけなく逝かれてしまって残念でなりません。
 祭壇には、着流しの和服姿のお写真が、全国から集められたという桜の花で囲まれて、いつものように微笑みかけておいででした。
 奥様を昨年見送られ、しっかり後片付けをしての旅立ちだったということですが、ほんとに桜の花のように潔くこの世をあとにされたのですね。ペンの例会では、時々、私のようなアウトサイダーの書き手が、こんな晴れがましい場にいることに気が引けるのですが、一流の方々にお会いして勉強の場を与えて下さったこと、今、時代物の分野で頑張っている牧南さんという波長の合う友との時間を共有できる機会を与えてくださったことにほんとに感謝しています。 にもかかわらず、何の恩返しもできず申し訳ありません。
ひたすら、先生のご冥福をお祈りいたします。