娘は「おくりびと」だったのだあ!

日曜日、娘が休めると言うので一緒に、映画「おくりびと」を見に行きました。納棺師の話です。不幸なことに、幼い時から私は身内の葬式が多く、それなりに死者の儀式は知っている方だと思います。しかし、この映画のような手厚い装いをしてもらって冥土へ旅立てるのは、やはり平和だからと心底思いました。長崎の原爆投下後、街には死体があふれ、川原に山積みにして荼毘に付したと言います。その状態は、昭和20年の9月ごろまで確実に続いていたようで、アメリカのジョー、オダネル氏の「死んだ赤ん坊」をおぶった少年が、山積みの死体の焼き場に立つ写真は有名です。
人間の最期の身づくろいを、丁寧にしてあげる納棺師に扮したのは、本木雅弘、ベテランの納棺師に山崎努、なかなかの好演でした。
映画は、皆さんに観ていただくとして、ちょっと驚いたことがありました。映画の後、感想を話していたら、「私もしてるよ。だって、亡くなったあと、どうすればいいのか、家族は戸惑っているもの。肛門と鼻孔に、汚物が流れ出さないように脱脂綿つめ、、、」と、のたもうた。「え!、死亡診断書、書くだけじゃないの。」と、私。暗い道を大きな医療器械を積んで、一人で車を走らせているのを想像するだけでも、交通事故を起こさないかと心配してるのに、そんなことまでと、人間ができてない私は驚くやら、感心するやら。どうやら、私が見送った死者より何倍もの数の死者を送ったようです。彼女が大学時代まで、「そんなんで、医者になれるはずはない、やめろやめろ!!」などと叱りとばしていたのですけど、この頃すっかり言えなくなってしまったように思います。医者に憧れてなった本人、ほんとによかったのだろうか?そう思う日々が続きます。ちなみに、娘は在宅医療に携わっています。