広島、長崎の原爆資料館こそ、憲法9条を、、、

 先日、核拡散防止条約再検討会議の準備委員会の国際会議で、田上長崎市長が「核廃絶」を推進するために、各国の指導者にぜひ被爆地に来て核兵器の実相を知ってほしいと呼びかけました。
確かに原爆を投下したアメリカの大統領が、被爆地を訪れたことはありません。そして、核兵器の真相については、日本人さえも被爆地を除いては、あまり知っているとは思いませんし、それが世界まで広げると、なかなか伝わっていないと言えるかと思います。
 かっての敵国の戦争記念館には、どの国の指導者も足を向けようとはしません。それは記念館が、自国側から見た一方的な展示や主張になっていることが予想されるからかもしれません。が、現場での真実も確実に残されています。ですから、アメリカには、たとえ「原爆投下は正当だった」という見解があったとしても、実際その被爆地で何がどうだったのか、そして時を経て、人間や大地に対しての影響はどうなっているのかは、やはり被爆地に直接行って、見聞するのが一番の方法だと思います。その意味で、長崎市長はいい提案をしてくれたと思います。
私は、これまでポーランドアウシュビッツ収容所や、アジア諸国の戦争記念館を訪ねました。やはり、救いようのない人間のさがに滅入ってしまいました。
 その中で、北京郊外にある「中華人民抗日戦争記念館」を見学した時のこと、1931年から始まる中日戦争史に関する写真や資料が展示されていて、日本軍の蛮行に驚きと落胆で逃げ出しそうでした。
ところが、最後の中日友好のコーナーには、憲法九条が掲げてありました。ほっと救われた気持ちでした。中国の国民の皆さんも、やはりこの憲法九条に期待を寄せ、一度は崩れた日本への信頼を再構築するための証にしたい気持ちが伝わってきました。自国の被害や手柄だけを展示すると、外国からの訪問者にとってとても辛いものがあります。それが証拠に、戦争記念館と称されるところには、かつての敵国の人々は、指導者のみならず一般の方々も、訪れようとはしません。やはり辛い悲しい悲惨な過去の提示のあとに、未来への展望があってこそ、その役割は十分果たせるのではないでしょうか。そこで、広島、長崎の原爆資料館こそ、世界が向かうべき戦争放棄をうたった憲法九条を掲げるべきではないかと思っています。そして、オバマ米国大統領に憲法九条の前に立ってもらい、日本が平和国家として生きる意志を、再確認してもらいましょう!そんな日が来るといいなあと、夢見ています。